ふふふ、ふふふのふ。
こんな世界情勢の中でも幸せは感じれるもの。
正直な話、仕事は減ったし、来月からの生活は大丈夫かしらレベルだけど今日は確かに幸せだった。
こちら ↓↓
今日は久々に子供たちの顔を見ることができた。
約1ヶ月振りとなる彼女たちの姿は、想像以上に愛らしく、そこにただ居てくれるだけで、ここ最近の心労を忘れさせてくれるものだった。
こんなに小さかっただろうか。
あんなに毎日見ていたのに、こんな風に忘れてしまうものなのだと思った。
毎日、彼女たちのことを想っていたのだが、離れてしまえばこんなものなのだろう。
彼女たちを1人ずつ抱き上げる。
嫌らしくない程度にほのかに良い匂いがする。
一緒に暮らしていたときとは別の匂い、洗濯洗剤や柔軟剤、ボディソープやシャンプー、おそらくそれらが変わったからだろう。
もうぼくの家の匂いではなく、人の家の匂いがした。
それを寂しいとは感じるものの、受け入れるくらいの冷静さはあった。
ぼくは、彼女の首元から耳の後ろにかけて、優しくキスをするように顔を近づけて、鼻から息を吸う。
肺の膨らむ限り吸い続ける。
一旦息を吐いて、また吸い続ける。
そしてそれを2人分。
えも言われぬ幸福感。
以前は、これがすぐ側にあったのだなという胸の痛みが顔を見せたが、それはすぐに消えた。
今、目の前にいてくれる喜びに勝るものなどない。
可能であれば妻(元妻ですが、認めたくないので、以下ともちゃん。)にも同じことしたいが、それはさすがにやめておいた。
ここで嫌がられて嫌われることが一番怖い。
今はまだ少し距離をおいておこう。
今日中にどうしてもしておきたい引越し作業があったため、昼の食事支度をともちゃんにお願いし、その代わり、ぼくはフライドポテトだけを作った。
子供たちの大好物。
次に会うときには、何か好きなものを作ってあげようと考えていた。
美味しいご飯を食べてもらうのは、親が、子に対して提供する幸せの大きな割合を占めていると思う。
今日のフライドポテトは今までで1番の出来だった。
カリッとした食感が2人とも好きで、そこを要点に作り方を工夫したのが良かったようだ。
昼ご飯を食べ、引越し作業もひと段落した後は、公園で子供たちと遊んだ。
部屋でトランプもした。
4人でスーパーに買い物にも出た。
家族という形態を久々に体験させてもらい、それを懐かしみ楽しませてもらった。
幸せだった。
17時頃には向こうに帰る予定だったので、その前にと、子供たちの前髪を切る準備をする。
彼女たちの前髪を切り、仕上がりに満足を覚えながら、ぼくは心底美容師で良かったと思った。
可愛い娘たちをもっと可愛くできた自分が嬉しい。
可愛く仕上がった娘たちは、週明けからまた外に出て、周りの人たちに褒められるだろう。
それは彼女たちの幸せの一部となる。
それをぼくがしてあげれたことが嬉しい。
美容師でよかった。
ハサミを置いたあと、ぼくは、それぞれ彼女たちのおでこにキスをした。
大好きだよ、また来月会えるといいね。
そう伝えながら。
それは予想外のだったのだけれど、別れ際に涙は出なかった。
悲しいという思いも、ほぼなかった。
寂しいけれど、今は自分がやるべきことがある。
ダメダメだった夫を返上し、父としての責任をこの背に負うこと。
それを思うと、気持ちが強くなれた。
最後にまた、子供たちを抱き上げて匂いをめっちゃかいだ。
そして、1人になったあとは子供が使い残していったコップで飲み物を飲み、長女が忘れていったヘアゴムを手首に装着してほっこりした気持ちでいる。
どうやら自分は真性の変態のようだ。
武田
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